森の助手日記 vol.21 「森の出張授業と萌芽更新について」

先日、伊那西小学校へ「森の出張授業」を行いました。

この学校は、校舎の目の前にある約1haの森を利用した「自然科学に特化した学び」を行っています。詳しい内容ついては、こちらの記事に綴っていますので、興味のある方はぜひ読んでいただけると嬉しいです。
[森の助手日記vol.20 伊那西小学校と森の授業について]

今回の授業は、「萌芽更新について」。かなりマニアックなテーマですよね・・・(笑)これは、木を伐った後に切り株から出てきた芽(ひこばえ)を活かした森づくりを行う手法のことです。

伊那西小学校の6年生は現在、皆伐した森(通称:きらめきの森)をフィールドに「大地がつくる森」というテーマで‟森の過去と未来”を考える学習を行っています。

森の木を伐った後、どういう変化があったのか、どういう植物が生えてきたのか。定期的に観察をしながら、記録をしています。その中で、‟ひこばえ”が出ている切り株が沢山あったので、今回は「萌芽更新」が授業のテーマになりました。

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\\ ここでちょこっと森の豆知識  //

伐採した切り株から出てくる芽は、「萌芽(ほうが)」や「ひこばえ」と呼ばれています。「孫(ひこ)が生まれる」という意味から、「ひこばえ」という名が付いたとの説も。おじいちゃんの切り株が、新しい芽(孫)にたくさんの栄養を与えて、丈夫に育つように一生懸命手助けしているのです。森の中では、至る所でこういった‟助け合い”によって命が育まれています。
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授業の中で、この‟ひこばえの由来”についてもお話しました。すると、生徒たちは「じゃあ、この切り株は○○だね」と、自分のおじいちゃんやおばあちゃんと萌芽更新を重ね合わせていました。その様子を見ている先生の優しそうな目が、強く印象に残っています。先生にもお孫さんがいるようで、自分と切り株を重ね合わせていたのかも知れません。

森の中で育まれる命の繫がりを、自分の家族とのつながりと重ね合わせて森を見てもらえることができて、私はとてもとても嬉しい気持ちになりました。

子供たちにとって少し身近になった‟ひこばえ”。授業の後半は、実際に森へ出向き、どの木からひこばえが出ているのかを観察・記録をしていきました。中には、切り株が見えないくらい沢山のひこばえが出ているものも。ある女の子は、その木に「もじゃ」という名前を付けていました。

最後に少し、私の大好きな里山の話をさせてください。

皆さんは、「里山」という言葉を聞いて、どんな森をイメージしますか?私は、色んな広葉樹が生えている雑木林がパッと思い浮かんできます。里山を代表する木といえば、コナラやクヌギ、クリなどが多いのではないでしょうか。

これらの木は、幹はもちろん、実や枝葉まですべてを使える万能な木です。木の幹や枝は、暮らしの道具や燃料として。葉は、畑の肥料に。実は、貴重な食料でした。



なので、昔の人たちは、定期的に森に行っては木を伐って、収穫して、を繰り返していました。都合のいいことに、コナラやクヌギ、クリなどの木は、木を伐るとひこばえが出てきます。なので、木を切ったら20年~30年後には、ふたたび立派な木になります。そうやって、自然と森が再生されていました。

暮らしと森づくりが繋がっていて、それでいて循環している。私は、この暮らしを高校生の時に初めて知りました。その時に、なんて素敵な暮らし方なんだ!と胸が高鳴ったのを今でも覚えています。

伊那西小学校では、中学、高校、大学に進んだ時にも役に立つような自然科学に特化したレベルの高い授業を行っています。しかし、その根本には、森は私たちの暮らしに必要不可欠なものなんだ、ということを知ってほしいという軸があります。

時代が進むと共に、私たちの暮らしはとても便利になりました。それと同時に、便利を追求するが故の数多くの問題が露呈してきています。これからの時代は、便利を追求するだけではなく、如何に環境に配慮しながら持続可能な社会を作っていけるか、が重要になってくると思います。

・・・話が大きくなりすぎてしまいましたが、この学校から未来のやまとわ社員が生まれると嬉しいなと思いながら、いつも楽しく授業をさせてもらっています。

これからも授業の様子を綴っていくので、引き続きチェックしていただけると嬉しいです。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。