森の助手日記 Vol.9 「KOA森林塾 2018 夏コース/木を売るを体感する1日 開催しました!」

8月4日(土)、雲1つない天気に恵まれながらKOA森林塾2018 夏コースがはじまりました!今回も、地元の方をはじめ東京・神奈川からなど幅広い地域から参加してくださいました。

| AM 8:30~9:30 / イントロダクション |

KOA森林塾は、いつもこの山小屋から始まります。伊那谷の木を使って旧伊那技術専門校の生徒たちが創り上げてくださったこの場所。沢山の思い出が詰まっています。
新しく森林塾の塾生となってくださった方々と一緒に、参加しようと思った経緯や、これから習得したいことなどをこの場所で共有しました。

次に、早川先生から林業の概要について簡単な講義がありました。山の木と人々の暮らしのつながりや、世界と日本の森林の比較、日本の林業の現状などについて説明がありました。その中でも伊那谷は、KOA森林塾のOBの方が自伐型林業をされていたり、任意団体を立ち上げられたりとOBの方々が地域で活躍されているというお話がありました。

林業の簡単な概要について知ったら、いざ、会社見学へ出発!


| AM 10:00~11:30 / 株式会社DLDの見学 |

午前中は、薪ストーブの輸入販売を軸に薪の宅配サービスを行っている株式会社DLDへ見学に行きました。分かりやすく説明してくださった薪事業の責任者である木平さん。

「山の手入れが滞っているのは、木がお金にならないことが根本の原因です。誰も木を使わない、誰も木に対してお金を支払わない。だからお金にならない。そいういう悪循環を変えたくて、今から約20年前に薪の宅配サービスを始めました。」

薪の宅配サービスは、横1.5m 高さ1.3m 奥行き0.5mのラックに薪を詰めて、使った分だけ常に補充してくれるという有難いサービスです。1シーズンの薪を用意しようと思うと、1家庭で約軽トラ6配分の薪が必要になります(※各家庭により多少の誤差はあります)。薪づくりは、木を伐ってきて、割って、乾燥させてと、ただでさえ大変な労働なのに、それに合わせて乾燥させるための大きなスペースも必要となります。

薪の宅配サービスは、ラック1つあれば完結するため余計なスペースも労力も必要ありません。薪ストーブを使いたいけれど、薪づくりが大変…という方に大変好評を得ているサービスです。

今年は例年になく暑い日が続いていますが、DLDでは配達用の薪がせっせかと作られていました。(塾生の皆さんも機械を使った薪割を体験させていただきました。普段は斧を使って薪づくりをされている方もいらっしゃり、文明の利器に驚いた様子でした。)

薪というと、燃焼時間の長さから広葉樹が根強い人気を誇っています。そして昔も、主に広葉樹が薪として使われていました。しかし木平さんは、昔の人たちが広葉樹を選んだのには別の理由があるのではないかと考えていました。

昔の人が広葉樹を薪にしていたのは、”山にたくさん生えていた”から広葉樹の薪を使っていたんだと思うんです。確かに針葉樹と広葉樹では燃焼時間に多少の差はあります。ですが、燃焼時間の長短で木を選んだのではなく、山にたくさん生えている身近な木が広葉樹だったから、使っていたんだと思うんです。

”無いものを求めるのではなく、今ある資源をいかに有効活用するか”

その考えは、山と共に暮らしてきた先人のとても大切な考えの軸のように思いました。
今の山には、先人たちが一生懸命植えた針葉樹が沢山生えています。しかし、お金にならないからと放置され、山は荒廃しています。山には木が有り余っています。資源が沢山余っています。

木平さんたちは、針葉樹を薪として使っても薪ストーブを傷めないことを証明するために、何度も実験を行ったそうです。そして、樹種の違いによる薪ストーブの影響はほとんどなく、問題は薪ストーブの使い方にあったということを証明されました。

薪の宅配サービスは、しっかりとした裏付けをもとに針葉樹をメインに扱っています。このサービスが誕生したことにより、価値がないとされてきた沢山の針葉樹が薪として消費されるようになりました。

”価値がない”と言われたきた木に新たな価値を付け、地域内で循環するシステムを構築された木平さんの功績はとても大きいと思います。
今回の見学を通して、この功績の裏には、木平さんの強い信念と英知が合わさって誕生した画期的なサービスなんだと改めて感じました。

◎株式会社DLD webサイト https://www.dld.co.jp/


| PM 13時00分~14時30分 / 株式会社有賀製材所の見学 |

午後は、製材業と合わせて住宅の設計・施工まで行っている株式会社有賀製材所へ見学に行きました。案内してくださったのは、3代目社長の有賀真人さん。
有賀製材所は、現社長のおじいさまの代から約90年続いている老舗の製材所です。

この会社は、地域材に特化した製材を行ってきました。そのはじまりは、今から約20年以上も前に溯ります。外材が主流だったその当時、すぐそばに木が沢山あるのに遠く離れた異国の木を使うことに違和感を覚えた先代の社長が、少しずつ地域材を使うように切り替えてきたそうです。今では、地域材100%を誇る県内でも有数の製材所です。

有賀さんのご厚意で、実際に丸太を製材する様子を見せていただきました。製材をする様子は、なかなか一般の人の目に触れる機会がありません。でも、とても格好良い仕事なんです。

丸太を挽いていく時の迫力ある音、職人さんの真剣な目、ふわっと漂ってくる木の香り・・・。

塾生の皆さまが製材の仕事を五感で感じ、少し圧倒されつつも写真を撮ったり、動画を取ったりと思い思いに記録に残されているその様子を傍で見ていて、とても嬉しく胸がいっぱいになっていました。

3代目社長の有賀真人さんは、先代の思いを受け継ぎ地域材に特化した製材を行いながら、有賀製材所を守り続けてこられました。”小さい=小回りが利く”という強みを生かした事業展開をされており、山師などが持ってきた木を挽く”賃挽き”も行っています。

すぐそばある木を、地元の山師さんが伐ってきて、その地域にある製材所が製材する。そしてその地域の人たちの暮らしに寄り添うものになる。

有賀製材所は、”家づくり”を通してこの素敵な循環を生み出しています。

「昔は、小さな製材所が地域にたくさんあったが、今はほとんどなくなってしまった。製材所は山とお客様を繋ぐ仕事、林業の要だと思っている。小さな製材所がそれぞれの地域にある、それが理想の姿です。」

有賀製材所は、山と地域を繋ぐ重要な役割を担っています。今回の見学を通して、製材所の尊さを改めて実感しました。

◎株式会社有賀製材所 webサイト http://www.arugaseizai.com/

 

追記・・・
思いはあっても、なかなかそれをビジネスとして成り立たせるのは難しいと言われる中、有賀製材所・DLD共に強い思いを持ちながらビジネスとして継続した取り組みを行われているその手腕に感銘を受けました。
お忙しい中、ご丁寧に分かりやすい説明をしてくださりありがとうございました。

→森の助手日記vol.10に続く